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EcoVadis(エコバディス) とは?|評価基準や導入のメリットを解説

取引先からEcoVadis(エコバディス)の評価を求められている担当者に向けて、EcoVadisの仕組みや評価基準、導入メリットを分かりやすく解説します。スコア向上のポイントや実際の企業事例を紹介していますので、自社のサステナビリティ推進の参考にしてください。

取引先からサステナビリティ評価の提出を求められ、EcoVadisへの対応に悩んでいるサステナビリティ担当者や経営層に向けて、評価の仕組みやメリットを解説します。
この記事を読むと、EcoVadisの全体像やスコア向上のポイントが分かり、具体的な対策を始められるようになります。

EcoVadisとは

EcoVadisは、企業のサステナビリティパフォーマンスを評価する国際的なプラットフォームです。
フランスのパリに本社を置く民間機関が運営しており、世界中の企業から高い信頼を集めているとされています。
調達の現場でサステナビリティが重視される今、評価のスコアは企業の競争力に影響を与える重要な要素となりつつあります。
EcoVadisに関する基本的な情報を、以下の表に整理しました。

項目 詳細情報
本社所在地 フランス・パリ
設立年 2007年
評価対象国 世界185カ国以上
評価対象企業数 約15万社以上
主な目的 企業のサステナビリティパフォーマンス評価と改善の促進

参考:EcoVadisについて

EcoVadisが注目される背景と目的

近年、気候変動や人権問題に対する社会的な関心が急速に高まっています。
それに伴い、企業には自社内だけでなく、仕入先を含むサプライチェーン全体の透明性を確保する責任が求められるようになりました。
EcoVadisは、こうした企業の環境や社会に対するパフォーマンスを客観的に評価し、持続可能なビジネスの実現を促進することを目的としています。
これまでの調達基準である品質やコストに加えて、サステナビリティという新しい基準を定着させることが大きな狙いだと言えるでしょう。企業同士が共通の物差しを持つことで、取引の安全性や信頼性を高める効果が期待できます。

EcoVadisとISO認証など他規格との違い

自社の取り組みを証明する手段として、ISO認証などの国際規格を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
EcoVadisとISO認証の大きな違いは、評価のアプローチとスコアによる可視化の仕組みにあります。

ISO認証は、特定のマネジメントシステムが規格の要求事項を満たし、適切に運用・維持されているかを第三者が審査した上で、一定の期間有効な認証を与えるものです。 

一方でEcoVadisは、企業のサステナビリティに関する取り組みの成熟度を点数化し、年次評価を通じて強みや改善点を可視化する評価プラットフォームとして機能します。
取引先(バイヤー企業)に対して自社の現在の立ち位置を分かりやすく伝え、改善に向けた対話を促すコミュニケーションツールとして活用されます。 

EcoVadisで評価される4つの分野と基準

EcoVadisの評価は、企業活動が社会や環境に与える影響を多角的に分析する仕組みになっています。
企業が偏りなくサステナビリティを推進できるように、評価対象は大きく4つの分野に分かれています。
この4つの分野に基づいて、企業の規模や業種に応じた詳細な分析が行われます。
具体的な評価分野とその内容について、以下の表で確認しておきましょう。

評価分野 具体的な評価内容の例
環境 温室効果ガスの排出削減やエネルギー効率の向上など
労働と人権 従業員の健康と安全の確保や差別の禁止など
倫理 汚職の防止や情報セキュリティの徹底など
持続可能な調達 サプライヤーに対する環境・社会的基準の適用など

それぞれの分野でどのような観点が重視されるのか、詳しく見ていきましょう。

環境・労働と人権に関する評価

環境分野の評価では、事業活動が地球環境に与える負荷をどの程度抑えているかが問われます。
温室効果ガスの排出量削減やエネルギーの効率的な利用、廃棄物の管理などが主な評価対象となります。
労働と人権の分野では、従業員が安全で健康に働ける環境が整っているかが重要なポイントです。
多様性の尊重や差別の禁止、適切な労働時間の管理など、働く人々の権利を守るための制度や実績がチェックされます。
これらの分野は企業の内部に直結する課題であり、従業員の働きがいや定着率にも影響を与える重要な要素と言えます。

倫理・持続可能な調達に関する評価

倫理分野では、企業が公正で透明性の高い事業活動を行っているかが評価されます。
汚職の防止や情報セキュリティの確保、反競争的行為の排除など、コンプライアンスを遵守する体制が整っているかが見られます。
持続可能な調達の分野では、自社だけでなく取引先 (サプライヤー企業) に対してもサステナビリティの基準を求めているかが問われる仕組みです。
サプライヤーの選定基準に環境や人権への配慮を組み込み、サプライチェーン全体で責任ある調達を推進する姿勢が求められます。
企業の外側へと広がる影響力を管理することは、将来のビジネスリスクを減らすために重要です。

EcoVadisを導入する企業側のメリット

EcoVadisを活用することは、評価を受ける側にも依頼する側にも多くの利点をもたらします。
単なる取引の条件としてではなく、企業価値を根本から引き上げるためのツールとして機能するからです。
バイヤー企業とサプライヤー企業がそれぞれどのような恩恵を受けられるのかを知ることは、社内で導入を推進する上で役立ちます。

双方の立場から見た主なメリットを以下の表にまとめました。

立場 期待できる具体的なメリット
サプライヤー(評価を受ける側) ・取引先からの信頼向上や新規顧客開拓の機会拡大につながる可能性がある。
・自社のサステナビリティにおける強みと改善点が明確になる。
サプライヤー(評価を依頼する側) ・サプライチェーン全体に潜む環境や人権のリスクを可視化できる。
・サプライヤー監査にかかる社内の業務負担を軽減できる。

それぞれの立場における具体的なメリットについて、さらに詳しく解説していきます。

サプライヤー(評価を受ける側)のメリット

評価を受けるサプライヤー企業にとって大きなメリットは、市場における競争力と信頼関係の強化につながる可能性があります。
世界的に認知されたプラットフォームで高いスコアを獲得すれば、サステナビリティに積極的な企業としてのブランド力の向上が期待されます。

これにより、既存の取引先との関係が強固になるだけでなく、新しい顧客を開拓する際の強力な武器になります。
さらに、評価を通じて自社の現状が客観的に分析されるため、どこに強みがあり何を改善すべきかが明確になる点も大きな利点と言えるでしょう。
改善に向けた具体的なフィードバックを活用することで、今後の改善活動や経営戦略の検討に役立てることができます。

バイヤー(評価を依頼する側)のメリット

評価を依頼するバイヤー企業にとっては、サプライチェーン上に潜むリスクを見える化できることが大きなメリットです。
数多くの仕入先を抱える大企業の場合、すべての取引先のサステナビリティ状況を自社だけで把握することは容易ではありません。
EcoVadisの共通プラットフォームを活用することで、一定の基準に基づき各社の状況を比較・管理することが可能になります。​
​​​​​​これにより、環境問題や人権侵害といったリスクの把握や対応が進み、持続可能な調達体制の構築につなげやすくなります。
また、従来のサプライヤー監査に要していた時間やコストの削減が見込まれ、より戦略的な業務にリソースを振り向けやすくなることも期待されます。

EcoVadisの評価プロセスと受審の流れ

実際にEcoVadisの評価を受ける場合、どのような手続きを踏むのでしょうか。
手続きはすべてオンライン上のプラットフォームを通じて進行し、企業の特性に合わせた評価が行われます。
スムーズに評価を進めるためには、全体の流れを理解しておくことが大切です。
登録から結果の通知までの基本的なステップを以下の表で確認してください。

ステップ アクションと内容
登録 企業の基本情報や業種などをシステムに入力してアカウントを開設します。
質問票への回答 企業の特性に合わせてカスタマイズされた設問に対して現状を回答します。
専門家による分析 提出された回答や証拠資料をEcoVadisの専門家が客観的に分析します。
結果の通知 スコアカードが発行され、評価結果や改善に向けたフィードバックが共有されます。

各ステップにおいて企業がどのような対応を求められるのか、順番に説明します。

登録から質問票回答までの手順

最初のステップは、EcoVadisのプラットフォームへの企業情報の登録です。
ここでは自社の基本情報や業種、事業を展開している国、従業員数などを正確に入力します。
登録された情報に基づいて、企業ごとに最適化された質問票がシステム上で生成される仕組みになっています。
次に、生成された質問票に対して自社の現状や取り組みを回答していく作業に入ります。
回答を進める際には、主張を裏付けるための規定書や活動レポートといった客観的な証拠資料を漏れなくアップロードすることが求められます。

専門家の分析とスコア・メダルの付与

質問票の回答と資料の提出が完了すると、EcoVadisに所属する専門家による分析が始まります。
専門家は提出された資料の信頼性や一貫性を精査し、国際的な基準に照らし合わせて企業のパフォーマンスを客観的に評価します。
分析が完了すると、4つの評価分野ごとの得点と総合スコアが記載されたスコアカードが発行されます。
また、スコアが一定の基準を満たした企業は、その実績を証明するメダルやバッジを受け取ることができます。
発行されたスコアカードには具体的な改善の提案も記載されており、次回の評価に向けた指針として活用することが可能です。

EcoVadisのスコアを向上させるためのポイント

EcoVadisで高いスコアを獲得するためには、単に現状を回答するだけでは十分とは言えません。
評価のロジックを正しく理解し、それに基づいた社内体制を戦略的に構築していく必要があります。
特に、取り組みが単発で終わらないよう、仕組みを構築するだけでなく、継続的に実行・運用していくことが求められます。

スコアを伸ばすために意識すべき3つの評価階層について、以下の表に整理しました。

評価階層 求められる内容と対策ポイント
方針 サステナビリティに関する企業のスタンスや目標を明確な文書として定めます。
実行 定めた方針に基づいて具体的な施策を展開し、社内に浸透させる仕組みを作ります。
成果 実行した施策の効果を客観的な指標で測定し、レポートとして開示します。

この3つの階層をどのように連動させていくべきか、具体的なアプローチを考えてみましょう。

方針・実行・成果の3階層を意識した対策

EcoVadisの評価でスコアを伸ばす鍵は、方針と実行と成果が掛け算のように連動していることを示す点にあります。
立派な方針を掲げていても、それに基づいた具体的なアクションがなければ評価は上がりません。
同様に、いくら施策を実行していても、その結果が数値として測定され、成果として報告されていなければ信頼性を証明することは困難です。

まずは自社のサステナビリティに対する方針を明文化し、それを達成するための施策を社内に定着させます。
そして、その取り組みの効果を客観的な指標で測定し、レポートとしてまとめるという一連のサイクルを構築することが高評価への近道と言えます。

社内体制の構築と外部リソースの活用

方針から成果までの一貫した取り組みを実現するためには、社内全体の体制づくりが必要です。
サステナビリティの推進は特定の部門だけで完結しにくく、経営層から現場まで全社を巻き込んだ協力が重要です。
プロジェクトチームを立ち上げ、各部門の担当者が連携してデータ収集や施策の実行にあたる環境を整えることが重要です。

一方で、初めて評価を受ける場合やスコアが伸び悩んでいる場合は、専門のコンサルタントなど外部の支援サービスを活用することも一つの有効な手段です。
客観的なアドバイスを取り入れることで、効率的に課題を特定し、自社に最適な改善計画を立てやすくなります。

まとめ

この記事の要点をまとめます。

  • EcoVadisは、サプライチェーンの持続可能性を評価する国際的なプラットフォームです。
  • 評価は、環境、労働と人権、倫理、持続可能な調達の4分野に基づいて実施されます。
  • サプライヤーはスコアを獲得することで、取引先からの信頼向上や競争力強化が期待できます。
  • 評価スコアを上げるためには、方針と実行および成果の連動を意識した対策が重要です。

これからの持続可能な企業経営に向けて、EcoVadisを通じたサステナビリティへの取り組みは、企業価値向上に寄与する取り組みとして注目されています。

監修:SGSジャパン株式会社 サステナビリティエキスパート

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