GHGプロトコル改訂の最新動向!|2026年〜2028年のスケジュールと企業の対策を解説
掲載日:2026.07.10
GHGプロトコル改訂の最新動向と企業への影響を把握したい方へ。
この記事では、2026年現在の最新スケジュールや、Scope2における時間単位マッチングなどの具体的な変更点を詳しく解説します。
読み終わる頃には、自社が次に取るべき準備とアクションが明確になります。
※本コラムは、2026年6月30日時点の情報をもとに作成しており、今後変更される可能性があります。
- GHGプロトコル改訂の全体スケジュールと背景
- Scope2ガイダンス改訂の主な変更点と企業への影響
- Scope3基準改訂の主な変更点と最新の議論
- GHGプロトコル改訂に向けて、企業が今すべき準備
- まとめ
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「排出量取引制度(GX-ETS)」は、2026年度から本格稼働し、二酸化炭素の直接排出量が一定規模以上(直近3年度平均で10万トン以上)の事業者には、 排出量の報告および第三者による検証が義務付けられます。
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企業の脱炭素対応において、算定の根拠となるルールの変更に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、2026年現在進行しているGHGプロトコル改訂の最新スケジュールや、Scope2ガイダンスおよびScope3基準における具体的な変更点について解説します。
読み終わると、自社が次にどのような準備を進めるべきかが明確になり、制度変更に先んじた対策を講じられるようになります。
GHGプロトコル改訂の全体スケジュールと背景
世界的な脱炭素の潮流の中で、企業の温室効果ガス排出量の算定基準であるGHGプロトコルは、より信頼性の高いものへと進化しようとしています。
現在進められているこの改訂は、企業の環境対応の前提を大きく変える可能性を秘めています。
まずは、なぜこのタイミングで見直しが行われているのか、その理由と今後のスケジュールを確認していきましょう。
なぜ今GHGプロトコルが改訂されるのか
GHGプロトコルが改訂される背景には、再生可能エネルギー市場の変化や環境主張の透明性を高める狙いがあります。
GHGプロトコルのScope 2ガイダンス(電力消費由来の排出量に関するルール)が策定されたのは2015年であり、当時の市場環境と現在の送電網の実態に大きな乖離が生じているためです。
具体的には、夜間に消費した電力に対して昼間に発電された再エネの証書を充当するような会計処理が、これまでは許容されてきました。
しかし、このような手法は実際の送電網の脱炭素化に寄与していないという批判が高まっている状況です。
物理的な電力消費の実態と会計上の主張を合致させ、真の脱炭素化を推進するために、より厳格なルールへの移行が求められます。
制度の信頼性を担保することが、ひいては企業価値の向上にもつながるでしょう。
2026年から2028年までの改訂スケジュール
改訂のプロセスは複数年にわたって進行しており、段階的なスケジュールが発表されています。
2022年11月に改訂に向けたステークホルダー調査が開始され、2025年10月から2026年1月にかけてScope 2ガイダンス改訂草案の意見募集(第1回パブリックコンサルテーション)が実施されました。
その後、2026年第二四半期〜第三四半期に第2回パブリックコンサルテーションが実施される予定であり、Scope 2ガイダンスの最終版は2027年に公表される見込みです。
同時に、Scope 3基準については、2026年半ばまではフェーズ1進捗報告などの中間段階にあり、正式なパブリックコンサルテーション用の公開草案の発表は、2027年第三四半期が予定されています。
全体像を把握し、自社のスケジュールに落とし込んでいくことが重要といえるでしょう。
| 予定時期 | 主なイベント |
| 2026年1月 | Scope2ガイダンス改訂草案の第1回パブリックコンサルテーション終了 |
| 2027年 | Scope2ガイダンスの最終版公表予定 |
| 2026年半ば | Scope3基準改訂フェーズ1進捗報告終了 |
| 2027年第三四半期 | Scope3基準改訂草案の公表予定 |
参考:経済産業省「GHG Protocol Scope2ガイダンス改定への対応について」
Scope2ガイダンス改訂の主な変更点と企業への影響
自社が直接購入・消費した電力や、他社から供給された熱・蒸気などのエネルギーに由来する排出量を示すScope2は、今回の改訂で特に実務的な影響が大きい領域といえます。
これまで一般的だった「年間を通じた相殺」という概念が見直され、より現実に即したシビアな算定手法が求められるようになります。
ここからは、Scope2に関する議論の中でも重要視されている、時間軸と地理的条件に関する2つの大きな変更点について解説します。
従来の算定方法からどのように厳格化されるのかを見ていきましょう。
時間単位のマッチング(Hourly Matching)の導入
Scope2ガイダンスの改訂において中心的な論点となっているのが、時間単位でのマッチングの導入です。
従来のルールでは、年間の電力消費量に対して同量の再生可能エネルギー証書を購入すれば、脱炭素化を達成したと見なされてきました。
しかし改訂案では、電力を消費したその時間に発電された再生可能エネルギーであることを証明するよう、要件が厳格化されます。
この変更により、企業は一時間単位での電力データと環境価値のデータを照合する仕組みを整えることが求められます。
昼間の太陽光発電の証書を夜間の電力消費に充てることが難しくなるため、より高度な電力管理が求められます。
結果として、蓄電池の活用や、夜間や悪天候時にも対応できる再生可能エネルギー(風力やバイオマス等)を組み合わせた調達が新たな課題となるでしょう。
供給可能性(Deliverability)要件の厳格化
もう一つの大きな変更点は、供給可能性という概念が算定において重要視されることです。
これは、主張する環境価値が実際に企業の事業所へ供給され得る電力に基づいているかを確認する考え方になります。
現行の枠組みでは地理的な制約が緩く、遠く離れた地域で発電された電力の証書を購入するケースが散見されました。
今後は、送電網の物理的なつながりを考慮し、同一の市場境界内で調達された環境価値であることが求められる方向で議論が進んでいます。
自社の拠点と同じエリアで再生可能エネルギーを確保する戦略が、これまで以上に重要になります。
| 現行ルールの特徴 | 改訂案の特徴 |
| 年間単位での環境価値の相殺が容認される | 1時間単位でのマッチングが求められる |
| 地理的制約が比較的緩やかである | 供給可能性の証明が重視される |
| 総量ベースでの報告が中心となる | 実態に即した物理的な電力使用が考慮される |
Scope3基準改訂の主な変更点と最新の議論
自社だけでなくサプライチェーン全体の排出量を対象とするScope3は、その範囲の広さから多くの企業が算定に苦心している分野です。
今回の改訂案では、このScope3についても要件のアップデートが検討されており、国際的な開示基準や投資家の評価にも直結する内容となっています。
ここでは、Scope3基準改訂が企業の目標設定にどのような波及効果をもたらすのか、また、新たにどのようなデータ収集の仕組みが必要になるのかについて詳しく紐解いていきます。
なぜ今、Scope 3基準の改訂を追うべきなのか?
Scope3基準の改訂は、国際的な目標設定フレームワークと密接に連動して企業に影響を与えます。
SBTiなどの認定を取得している多くの企業は、目標の更新時に新しいGHGプロトコルに基づく算定を求められるからです。
現在、世界で1万社以上の企業がSBTiの認定を受けており、これらの企業は順次新しいルールに対応していく必要があります。
また、日本国内の有価証券報告書におけるサステナビリティ開示基準の策定においても、この基準の動向が参照されています。
単なる任意開示のルール変更にとどまらず、法定開示や投資家からの評価に直結する変更であると認識すべきでしょう。
新たな排出カテゴリの追加とデータ要件
算定対象となるカテゴリの見直しも、Scope3改訂における大きなテーマです。
働き方の多様化に伴い、在宅勤務による排出量算定の明確化や、第三者が運行する車両による廃棄物輸送の取り扱いなどが議論されています。
算定の対象範囲が広がることで、企業はこれまで取得していなかったサプライチェーン上のデータを集めなければならなくなります。
推計値に頼るのではなく、サプライヤーから直接精度の高い一次データを取得する仕組みづくりが急務となるでしょう。
取引先との連携を深め、データ共有の基盤を早期に構築することが推奨されます。
| 検討されている変更点 | 企業に求められる対応 |
| 算定除外の厳格化(5%未満ルール) | 除外していたカテゴリの定量的なスクリーニング |
| データ分解(一次・二次)の義務化 | サプライヤーからの一次データ(実測値)収集 |
| 新カテゴリ(カテゴリ16など)の検討 | 新カテゴリ(カテゴリ16など)の検討 |
GHGプロトコル改訂に向けて、企業が今すべき準備
これまで見てきたように、GHGプロトコルの改訂は企業の算定実務に根本的な変化を要求します。
「最終版が公表されてから対応すればよい」と考えていると、データ収集の体制構築やシステムの改修が間に合わず、対応が後手に回ってしまう恐れがあります。
新しいルールのもとでも確実な情報開示と脱炭素化を推進するためには、今から計画的に行動を起こすことが重要です。
最後に、制度移行を見据えて各企業が直ちに着手すべき具体的な準備のステップについて解説します。
現行の算定プロセスと課題の洗い出し
新しい基準が公表されてから慌てることのないよう、まずは自社の現状を正確に把握することが大切です。
現行のScope2およびScope3の算定に用いているデータソースや算出ロジックを整理し、ブラックボックス化している部分がないかを確認します。
現在のデータ収集方法では、時間単位での集計や地域ごとの詳細な把握が難しいといった課題が浮き彫りになるかもしれません。
不足しているデータの種類やシステム上の制約を早期に明確にすることで、今後の改修の要件定義をスムーズに進めることができます。
まずは社内の関係部署と連携し、業務フローの棚卸しに着手してみてください。
再エネ調達戦略とデータ収集体制の見直し
厳格化されるルールに対応するためには、再エネ調達戦略の抜本的な見直しが求められます。
従来の証書購入に頼るだけでなく、オンサイトPPAやオフサイトPPAといった物理的な電力供給を伴う手法の比重を高めることが有効です。
また、サプライチェーン全体のデータを効率的かつ正確に集めるために、最新の炭素会計システムを導入することも一つの選択肢となります。
表計算ソフトによる手作業の集計では、一時間単位の膨大なデータ処理に対応しきれなくなるリスクが高まります。
長期的な視点を持ち、柔軟に対応できるデータ基盤の構築に向けた予算確保を進めていくことが望ましいでしょう。
| 準備のステップ | 具体的なアクション |
| 現状把握 | 算定ロジックとデータソースの可視化 |
| 課題抽出 | データの粒度不足や属人化の解消 |
| 戦略立案 | PPAを活用した再エネ調達の計画策定 |
| システム構築 | 一次データを効率的に処理する基盤の導入 |
まとめ
この記事の要点をまとめます。
• Scope2ガイダンスでは、時間単位のマッチングや供給可能性の要件が追加される方向で議論されている。
• Scope3基準改訂では、排出量の95%以上の包含が義務化、データタイプ別の開示、新カテゴリ追加といった議論が注目されている。
• 企業は現状の算定プロセスを洗い出し、再エネ調達戦略やシステムを見直す必要がある。
早めの対策を進めることで、国際的なルールの変化に強固に対応できる組織基盤を築いていきましょう。
監修:SGSジャパン株式会社 サステナビリティエキスパート






