北米向け電気安全規格 NRTL認証(UL 508A, UL 61010-1, UL 62368-1など)

 アメリカ輸出時の電気安全対応について 

アメリカ国内へ製品(機械・装置等)を設置する場合、各州、市、町が要求する電気安全要求事項への適合が必須となります。
そのためには、最終設置場所で製品の安全性を確認し、アメリカ当局担当者(AHJ:Authority Having Jurisdiction)の持つ最終決定権により、装置の稼働許可の認可を受けることを必須とするアメリカ独特の制度があります。
その要求は納入先の州・市・群などの自治体、AHJにより異なり、さらに採択される規格の年度も異なります。

 AHJとは? 
米国電気規格(NEC)では、AHJを「コードまたは規格の要件を施行し、機器、材料、設置または手順を承認する責任を負う組織、事務所、または個人」と定義しています。
たとえば、火災安全の問題の場合はAHJ は消防関係者や火災保険業者である可能性があり、構造上の問題の場合はAHJは建築関連の検査官である可能性があります。健康または公共の安全の問題については、緊急管理機関のディレクターまたは保健部門である可能性があります。その他のAHJは、認証機関、公益事業会社、機器検査官などが含まれます。
こういったことから、AHJはプロジェクトの要求仕様を提案したり、設計図を承認したり、納品された製品の検査、許可の発行、コードコンプライアンスを強制します。


それはNFPA 70(NEC:National Electrical Code)の第90.7条においても、Listedされた製品やラベルが貼られていない機器について、フィールド検査に供することと言及されております。

以上から、米国での製品流通に際して一定の安全性を示せない製品はAHJによる指摘対象となり、稼働許可が下りない可能性があることがわかります。

 NRTL認証とは? 

稼働許可が下りないリスクを回避する手段の一つとして、NRTL(*1)による認証制度を利用しNRTLのラベルを表示することができます。
SGSでは、大量生産品、単一製造品向けの試験・認証サービスを設けており、米国規格協会(ANSI)から発行される米国規格を満たすために、NRTLが認定した試験所で試験を実施し、最終的にその試験をクリアし、規格を満たしていることの審査をします。
最終的に発行される認証ラベルを製品に表示することにより、先述のNEC第90.7条のAHJの言及対象ではなくなります。
 

SGSでは機械の生産数量によって、3種類のNRTL認証サービスを設けています。

それはFull CertificationLimited Product Certification(LPC)Field Evaluationです。


こちらではFull Certificationについて紹介いたします。

(*1): NRTLとは、National Recognized Testing Laboratories(米国国家認定試験所)の略で、OSHA(米国労働安全衛生管理局)の認定を受け、連邦規格に基づいた安全試験・認証を行うことを許可された民間機関のことを指します。                                   
https://www.osha.gov/dts/otpca/nrtl/nrtllist.html
 

 NRTL Full Certification とは? 

Full Certificationは一般的には、SPEC(形状、性能、定格など)や仕様(ブレーカー、VFDsなどの電気制御機器などから電線、ねじまで)が同一の”量産製品”として市場に流通される製品を対象としています。

身近にあるもので”量産製品”のイメージしやすいものはノートパソコンのAC/DCアダプターです。こちらの表面には多数の安全性の表示があります。北米向け製品にはNRTLの認証マークが表示され、北米市場での流通において一定の信頼性の証としてメーカーが表示をしています。量産される製品群で、UL 508A, UL 61010-1, UL 62368-1やUL 60335-1などを適用する場合はFull Certificationをご検討ください。
 

 Full Certificationの工場登録完了、認証ラベル添付までの業務プロセス例 
 

 STEP  

適用規格決定

製品詳細から適用規格を決定します。

 STEP 2  設計・製作

適用規格と要求仕様に対して設計・製作を行います。
または、SGSジャパンにより図面上での事前審査、類似機による事前審査を実施し、レポート化された、事前に確認できる指摘点を把握した上で設計・製作を行ないます。

 STEP 3  試験・審査

製品に対して試験・審査を行ってTest Report を発行します。
(必要な場合は是正処置を実施いただきます。)

 STEP 4  工場監査

工場監査を実施し、監査レポートを作成します。

 STEP 5  レポートレビュー

SGS North Americaによるレポートレビューを実施します。

 STEP 6  Listing Report作成

申請に必要なListing Reportを作成します。

 STEP 7  認証工場への登録完了
 

認証工場の登録が完了となります。
製品への認証ラベルはお客様自身が認証のフローに沿って監理し自社で表示いただきます。


規格対応が初めての方から、多数の認証申請が必要となる方まで、経験豊富なSGSでサポートいたします。ぜひご相談ください。


産業用の機械装置類で一品一葉の単一製品、または一定の限定された期間しか生産がされない複数の製品はLPCやField Evaluationでの認証をご検討ください。
詳細につきましては関連サービスのリンク先をご覧ください。

サービスご利用のメリット

  • アメリカでの機械装置の稼働許可制度に際してのNRTL認証ラベルを表示可能

SGSを選ぶメリット

  • 製品安全・EMCともに経験豊富なエンジニアが対応いたします。

特にアメリカの規格対応は世界でも最も難解といわれていますが、SGSジャパンにはUL 508Aの設計経験を有するエキスパートもおり、経験豊富なメンバーでの適切なサポートが可能です。北米向けの製品輸出が初めての方をはじめ、北米規格対応でお困りの方はぜひご相談ください。

サービスご利用の流れ

 STEP 1  サービスお問合せ

まずはお問い合わせフォームからご連絡ください。ノウハウを持つセールスより連絡いたします。
※お問合せフォームからのご連絡後はメールにて対応いたします。

 STEP 2  お打ち合わせ

お打合せの中で、ご依頼内容と貴社の状況やご要望をヒアリングし、詳細条件を確認いたします。

 STEP 3  見積書の発行

SGSでの対応工数を検討し、営業から見積書の提示&納期を連絡いたします。

 STEP 4  業務のご依頼
 

貴社所定の書式、または弊社書式にてご発注をお願いいたします。
※ご発注に際し、契約の締結が必要になる場合はご相談ください。

よくあるご質問

Q. 審査後の技術的な質疑は対応可能でしょうか?
A. 技術支援業務にて対応可能です。

Q. 見積もり時に事前に準備した方が良いものはありますか? 
A. お申込みの際は弊社所定の見積依頼書と合わせて製品資料(製品マニュアル、製品仕様書、単線結線図、電気回路図、外形図、圧力回路図(油圧、空圧、冷媒等を使用している場合)  部品リスト、マニュアル、リスクアセスメントシートなど)をご準備ください。  

Q. 審査・試験は自社工場で対応可能ですか? 
A. 対応可能です。

Q. 装置実機や図面が無くても審査は可能ですか? 
A. どちらも審査には必須です。これから実機開発をされる場合には図面または類似機のいずれかがあれば、事前審査という形で簡易的な審査を対応可能です。

Q. 審査に必要な技術資料類の作成代行をお願いできますか? 
A. 申し訳ありません、ドキュメント作成代行は行っておりません。 

Q. リスクアセスメントの方法、安全回路の考え方、PL計算の考え方、SISTEMAを用いた妥当性の検証、SCCR値の考え方などトレーニングは可能でしょうか?
A. 審査業務とは別のトレーニング業務として対応可能です。

関連サービス

お問い合わせ

SGSジャパン株式会社
C&P Connectivity 製品安全部
TEL:050-1780-7877