SGS INSPIREニュースレターを発行しました
2022年10月04日
SGSは、9月7日に登録されている皆様へSGS INSPIREニュースレターをお送りしました。このニュースレターでは、約2か月に一度、世界の燃料・エネルギーに関する法規、規制、品質に関する最新の情報をお届けしております。
SGSジャパンのウェブサイトへは、ニュースレターの内容を約1か月遅れで掲載しています。最新のニュースレターを受信されたい方は、こちらからご登録ください。
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Global
SGS INSPIREは、世界における運輸部門の水素エネルギーに関するウェビナーを開催した。録画されたウェビナーとプレゼンテーションは、ウェブサイトにて公開中。
さらに、SGS INSPIREは、2030年までの世界の水素および持続可能な航空燃料(SAF)生産能力に関するマップをそれぞれ作成、公開した。
現在SGSグループは、バイオ燃料のトレーサビリティに関する新たな試験を実施することができる。試験方法は下記の通り。
- EN 16640 - Bio-based products - Bio-based carbon content - Determination of the bio-based carbon content using the radiocarbon method
- DIN 51637 – Biobased Content Testing of Hydrogenated Vegetable Oil (HVO)
SGS INSPIREは、ロシア科学アカデミーのE.M. Primakovにちなんで名付けられた世界経済・国際関係国立研究所(IMEMO RAN)が開催したセミナー「制裁下のロシアの石油産業: 今後どこへ向かうのか」へ参加した。
議論された内容は下記の通り:
- 欧州連合(EU)による第6次対ロシア制裁
- ロシアの石油輸出先を西側諸国から東側諸国とする方針転換
- ロシアにおける石油生産の減少がもたらすリスク
- 物流サプライチェーンが変化する中で、石油貯蔵にロシアのインフラを利用する可能性
Specifications Database
燃料規格データベースに新たに下記の内容を収録した。現在データベースには5,200の規格を収録している。
ブラジル(ディーゼル)、ラオス(ガソリン)、スリランカ(ガソリン、ディーゼル、燃料エタノール)、バングラデシュ(ガソリン、プレミアムガソリン、ライトディーゼル、高速ディーゼル)、インドネシア(再生可能燃料/パラフィン系ディーゼル)。
Europe
ディーゼル燃料のグレードB7、B10およびLPGに関する欧州規格が、現在EU加盟27カ国によって施行されている。各加盟国は2022年9月までに、国レベルでこれらの基準を採用するとともに、旧基準を廃止しなければならないことになっている。これらの規格に加えられた変更の詳細については、SGS INSPIREの過去の記事を参照のこと。
SGS INSPIREは、欧州委員会(EC)が2021年12月15日に発表したEUガスパッケージについて詳細な分析を行った。レポートはこちらで公開している。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ECは「RePowerEU計画」と呼ばれる、2030年までにロシアのエネルギー輸入を終了させるための詳細な計画を発表した。発表された措置の中でECは、改訂版再生可能エネルギー指令(RED III)において、2030年までにすべてのセクターで再生可能エネルギーの比率目標を40%から45%に引き上げることを提案している。運輸部門については、再生可能エネルギーの比率目標を28%から32%に引き上げることを意味する(fit-for-55パッケージでは28%が提案されていた)。より詳細な情報は、SGS INSPIREの記事で解説している。
スロベニアでは、政府は、ロシア・ウクライナ戦争によって悪化した現在のエネルギー価格の高騰を考慮し、燃料供給会社が輸送において再生可能エネルギー目標を達成するための期間を延長した。
スペインは、2018年12月11日のEU再生可能エネルギー指令(RED II)が国内法に移行した。バイオ燃料の義務付けが2022年の10%から2026年の12%に増加し、運輸部門の他の新しいサブターゲットも追加された。
ヨーロッパ各地で、次世代エタノールの製造が盛んに進められている。Clariant社は、ポダリ(ルーマニアに位置する)の新工場で、サンリキッド技術を使用し藁からエタノールを生産していると発表した。ドイツでは、同じく先進エタノールの生産者であるCropEnergies AGが、リグノセルロース系原料からの先進エタノール生産を2022年から2023年の間にスケールアップするために、LXP Group GmbHに200万ユーロの多額の投資を行うことを発表した。
Nesteは、ロッテルダム製油所における再生可能エネルギー製品の生産を、2026年までに現在の生産能力の約2倍となる270万トンに拡大する計画を発表した。2026年までに120万トンを持続可能な航空燃料(SAF)とする。
現在提案されている法案の代替となるFIT-FOR-55について議論が行われている。
- 2022年6月2日、EU理事会が代替燃料インフラ、航空、海洋に関する法制化案に関する一般的なアプローチに合意した
- 2022年6月8日、欧州議会のメンバーが、新車とバンのテールパイプをゼロエミッションにするための欧州委員会の2035年の提案に賛成票を投じた
- 2022年6月28日、EU理事会は、新車とバンのテールパイプのゼロエミッション達成に向けた提案に合意した。次のステップは、EU理事会と欧州議会がこの法案に合意することである。
- 2022年6月27日、EU理事会は、運輸における再生可能エネルギー比率目標を少なくとも29%に引き上げることに合意し、MSに対して、再生可能エネルギー比率目標を措置として維持するか、RED IIIで提案された、2030年までにすべての運輸部門で使用する再生可能エネルギーについて最低13%のGHG強度削減目標を適用するかのいずれかのオプションを与えるものである。
SGS INSPIREは、6月と7月に行われたこれらの議論について、「Analysis of fit-for-55」レポートにてパッケージの立法案についてまとめている。
CIS
タジキスタン・エネルギー水資源省によると、2022年第1四半期、タジキスタンは193,700トン以上の石油製品を輸入した。2021年同期と比較すると、燃料輸入は60%増加している。
SGS INSPIREのタジキスタンのレポートでは、タジキスタンの自動車流通台数の概要を述べたほか、同国の乗用車の輸入先はバルト諸国と韓国であることを解説している。タジキスタンの主要な大型車輸出国は中国である。2022年の最初の5ヶ月間で、タジキスタンへの自動車の輸入額は合計1550万米ドルで、2021年の同期(1130万米ドル)より27.3%増加した。
ウズベキスタンではEuro 6軽油の製造が始まっている。2022年5月、同国のブハラ製油所でユーロ6対応ディーゼルの生産が開始されたほか、Gas to Liquid(GTL)製油所でもEuro-6対応の合成ディーゼル燃料の生産が開始された。2022年7月、SGSはウズベキスタンのGTL工場で生産された合成ディーゼル燃料の独立研究所試験を実施し、その結果、GTLで生産されたディーゼルのすべてのパラメータが要求規格に適合していることが確認された。
North America
カナダでは、ロシアからの石油依存を減らすだけでなく、エネルギーミックスを多様化するために、政府がいくつかの施策を提案した。提案された新しいクリーン燃料規制(CFR)によると、義務者は燃料の炭素強度を2.4g CO2eq/メガジュール(MJ)削減し、2030年には12g CO2eq/MJまで上昇させることが要求されることになる。 このCFRは2022年7月6日に官報に掲載された。
米国では、米国運輸省(DoT)連邦道路管理局が、全米電気自動車インフラ(NEVI)フォーミュラ・プログラムの資金提供プロジェクトの最低基準および要件に関する規制を設定するための規則制定を提案した。この規制の目的は、電気自動車を含む異なる充電事業者間の標準化と、相互運用性を確保することである。これに先立つ2022年5月、DoTは乗用車と小型トラックの2024~2026年モデルにおける企業平均燃費(CAFE)基準に関する最終規則も発表した。
2022年6月16日、米国議会の下院は、E10(10%v/vエタノール入りガソリン)とE15(15%v/vエタノール入りガソリン)を含む不特定の高濃度ブレンドに1psi Reid Vapor Pressure(RVP)免除を導入する「食料および燃料コスト低減法」を可決した。この決定は、ロシアのウクライナ侵攻により、燃料供給が極度に逼迫していることを受けてのものである。
カリフォルニア州では、2020年11月以降、25万人以上の顧客がクリーン燃料報奨制度で提供される経済的インセンティブの恩恵を受け、同州における電気自動車の大幅な普及を象徴している。
Latin America and the Caribbean
ブラジル上院は、燃料を必須商品・サービスとみなす法案を発表し、燃料に対する連邦商品・サービス流通税(ICMS)の上限を設定した。
2022年6月、アルゼンチンが直面するディーゼル不足に対応するため、政府はバイオディーゼル混合義務付けを60日間増加させた。
大型車(HDV)に適用される排ガス規制に関する法案が、チリの運輸通信省から公開協議に提出された。この規制は、Euro6の排出ガス規制に基づいたものである。
Asia and Oceania
2022年6月、オーストラリア政府は2030年までに2005年比で43%削減する国家温室効果ガス排出量目標を更新し、目標達成のためのいくつかの施策を実施した。
中国では、政府が乗用車の販売を促進するために自動車購入税を引き下げたほか、新エネルギー車に対する購入税免除を延長した。中国で 最初の商用SAFが、Sinopec Zhenghai refinery and Chemical Companyによって生産された。6月、上海市政府は「上海市中長期水素発展計画(2022-2035)」を発表し、2025年に達成すべき目標を明らかにした。
香港シティバスは、香港初の水素燃料電池電気バスを導入し、香港政府の支援による水素FCEVバスのパイロットテストを実施した。
2022年4月末、インド政府はティンスキア市において新グレードのガソリンM15のパイロットプロジェクトを実施した。2022 年 5 月、インドのエタノール平均混合率は 10%に達した。これにより、政府は2025-2026年までに全国で平均20% v/vのエタノールをガソリンに確保するよう促している。
インドネシア政府は2022年4月28日からCPO、RPO、RBDパームオレイン、POME、UCOを含むパーム油の輸出を禁止した。6月にインドネシア政府は再生可能ディーゼルの規格を発表し、2025年までにバイオベースディーゼルの義務付けをB40まで引き上げることを目指している。政府は、CPOの過剰供給を吸収するため、7月末からバイオディーゼル混合燃料を B35まで増量し始めた。
Oman Oil Marketing CompanyとWakud International LLCは、オマーンの商業・船舶部門にバイオディーゼルを導入する契約を締結した。
2022年6月、マレーシアの国営航空会社であるマレーシア航空が、クアラルンプールからシンガポールへのフライトで、SAFブレンドを使用した初の飛行を行った。
2022年5月、タイ政府は、バイオ燃料補助金を2022年9月30日から2024年9月30日まで延長することを発表した。同時に、消費者の負担を軽減するため、E10の石油基金を減額し、E20の補助金を増額した。
韓国政府は、バイオディーゼルの義務付けをB3.5から1年間で平均3.5%v/vに調整した。このため、製油所では従来型ディーゼルに2%のバイオディーゼルを混合するのが主流となっている。
Africa
ジンバブエエネルギー規制庁は、ガソリンへのエタノール混合義務付けを20%v/v(E20)に見直した。これは、政府が国産エタノールの供給状況に応じて、バイオディーゼル混合義務付けを変更するためである。
南アフリカでは、製油所の改修工事の遅れにより、ガソリンの硫黄含有量を10mg/kg、ベンゼン含有量を1%v/vに制限する規制の導入が2027年7月1日に延期された。
エジプトで操業する自動車メーカーには、オーナーやオペレーターから、質の悪いガソリンによる自動車の技術的な問題についての苦情が寄せられている。
スーダンは、ロシアとウクライナの軍事衝突を受け、現地の燃料価格を2度にわたって引き上げており、ディーゼル価格は347SDG(0.78米ドル)から1リットル当たり642SDG(1.41米ドル)に達した。
スーダンエネルギー石油省は、燃料ステーションのガソリンが公式仕様に適合していないことが判明したため、調査を開始した。この調査は、不純物入りガソリンや自動車の不具合に関する一連の苦情を受けてのものである。
アルジェリアは2021年に有鉛ガソリンを段階的に廃止している。2020年夏からのSGS世界燃料調査の結果によると、ガソリンサンプルの平均鉛含有量は0.13g/lであった。最近では、2020/0221年冬の調査において、ガソリン試料から鉛は検出されなかった。ディーゼルの平均硫黄含有量は500mg/kg以下である。政府によると、アルジェの製油所の近代化プロジェクトにより、2024年時点でディーゼルの輸出が可能になる見込みである。